18.初めての仲間
――ずっと一人で仕事をしていたんですね？採用はしなかったんですか？
この頃、自分が通っていた専門学校のひとつ後輩について、
知り合いから話を聞いていたんだ。
ものすごくデキるやつだってことは覚えてた。
その後輩は大手広告代理店のデザイン部門に入ったんだけど、
訳あって退職し、東京も離れることになったみたいで、
前職で、色々とあって精神的に疲れていたんだろうね。
それでデザインの仕事も辞めて、夜勤の工場で働いてるって話だった。
正直、もったいないなぁって思ったよ。
あんなに才能あったのにって。
だから友人に連絡先を聞いて、本人に電話して
「もう一度デザインの世界に戻って来ないか？」って声をかけたんだ。
もちろん、うちの事業が軌道に乗ってるなんて言える状態じゃなかったし、
うまくいく保障なんてひとつもない。
本当は、「お前の面倒みてやる。」って言いたかったけど言えなかったね。
だから、
「一緒に成功できるように頑張らないか」、
「また俺と一緒にデザインの仕事しないか」って、
声をかけたんだ。
結構、熱いやつでね。
一通り話したら、「来週、名古屋いきます。」って二つ返事。
はじめは冗談かと思ったけど、
本当にドラマみたいにトランクひとつで田舎から名古屋に出てきて、
アパートを探して住み始めたんだよね。
これが、お菓子の事業として、第1号の仲間ができた瞬間だったんだ。
